第十回・the Velvet Underground〜聴けばモテる!ポピュラーミュージック通信〜

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デヴィッドボウイは1972年、あるアーティストのアルバムをプロデュースします。彼が多大な影響を受けたバンドの創設者でした。60年代半ばに現れたそのバンドは、一瞬でロックの景色を黒く塗り替えました。当時彼らのデビューアルバムを聴いた者は全員、自分のバンドを結成したという伝説も残っています。今回はベルベットアンダーグラウンドをご紹介します。

世界初のオルタナティブロックバンド

1964年、ニューヨークで結成。レコード会社のお雇い作曲家だったルーリードと、クラシック音楽を勉強していたジョンケールの出会いが始まりでした。予定調和なポップスを作らされていたルー、格式ばった世界に窮屈さを感じていたケール。共に強い実験欲求を抱え、人とは違ったものを作りたいと思っていました。奇妙に調弦されたルーのギターと、ケールが作り出すドローン音。この二つが合わさった瞬間、世界初のオルタナティブロックが生まれました。

ステージ上で何分間も大音量ノイズを放出する彼らに、売れる要素は皆無でした。しかしポップアートの巨匠・アンディウォーホールの目に留まり、状況は一変します。彼が資金を工面し、念願のアルバムをレコーディング。彼はアルバムのジャケットも提供しました。

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アンディが与えた唯一の音楽的な助言は、女性ボーカルの起用でした。モデル兼ミュージシャンのニコが数曲を歌うことになりました。ルーは激怒しましたが、彼女のアンニュイな歌声はバンドの音楽に新たな魅力を与え、結果的にはプラスに働きました。

アルバムではルーの才能が爆発します。東洋の雰囲気を醸し出す「Venus in Furs」、ダーティーなガレージパンクの「I’m Waiting for the Man」、当時タブー視されていたテーマを歌った「Heroin」、柔らかなラブソング「I’ll Be Your Mirror」。まさに名曲づくしでした。

ニューヨークの詩人

その後彼らはアンディのもとを離れ、独自の音楽を追求し続けます。ロック、ポップ、フォーク。音楽性はアルバム毎に変化しましたが、決して揺るがないものがありました。それはルーの卓越したメロディと、ストリートに根差した歌詞でした。

暴力とドラッグが溢れ、ときには死をも運んでくる街の生活。生まれ持った罪から逃れられない人々。自己破壊という名の現実逃避。シンプルな言葉を選びながらも、その物語はどこまでも冷徹でした。まっすぐにこの世を見つめていました。

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そんな彼が愛を語るときは、とても優しく繊細でした。

「僕たちが昨日会ったのは良かった / もう一度だって会いたい / 君が結婚しているという事実は / 君が僕の親友だと証明することになる / それは本当に罪深いことだよ」

人と人の間に起こる、一瞬の心の揺らぎ。変わりゆく世界と、変わらない思い。現実をじっと見据える彼が描く、儚くも美しい情景は、多くの人々を魅了しました。オルタナティブな音楽に身を包みながら、人々の本質を捉える力を持つルーリード。彼の作品が時代を超え、今でも愛されるのは必然でした。

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