異色の芥川賞受賞作「介護入門」モブ・ノリオ

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最近なにかと話題になっている芥川賞。権威ある純文学の賞という堅いイメージを勝手に抱いてしまう一方、アグレッシブな作品も選ばれています。今回は今から10年程前に芥川賞を受賞した異色作をご紹介。

金髪マリファナ吸引者の主人公が至極真っ当な介護をする話

本作は作者のモブ・ノリオ氏が自分の祖母を介護した記憶を元に綴ったフィクションです。主人公は金髪で大麻を吸う社会不適合者ですが『自分のおばあちゃんの介護は必ず責任感を持って最期までやり遂げる』と腹を括った、筋の通った奴でもあります。おばあちゃんを自宅介護する為だけに人生を費やした日々を『ha, ha, 』『Yo, 朋輩!(ニガー)』とラッパーの如く軽妙に語りかける、そのギャップが新しいです。

必死に頑張る主人公の周りにいるのは、自分の母親であるはずの祖母をまるで幼児のようにあやし、『ああなったらオシマイや』と他人事のように言う叔母。『おばあちゃんにテレビを見てもらってるんですよ』と言ってくだらないワイドショーを見ながら手を抜こうとするヘルパー達。彼(女)等に対する憤りは表には出さず世間体を保つ為に道化の振りをし、思考の中ではメタクソにディスっている様を畳み掛けるような文章で表現しています。

The Cowsの”Cabin Man”

作品中によく出てくるキーナンバーがポストパンクバンドThe Cowsの”Cabin Man”。モブ・ノリオ氏は元々スカムやノイズ(文字通り糞みたいな・雑音に近い音楽)畑の人で、音楽や映画ネタもチョコチョコ出てきてクスッとさせられます。

肩肘張らずに読める一冊です。
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