第六回・New York Dolls〜聴けばモテる!ポピュラーミュージック通信〜

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まずはこの写真をご覧ください。どうぞ。

出典:http://www.allmusic.com

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どうですか?「グロい!」「キモい!」賛否両論ありそうです。賛は無いか。この写真が世に流出したのは、今から40年以上前。この2015年に見ても、相当こみあげてくるものがあります。当時の人たちは、どう受け止めたのでしょうか?

活動期間5年、アルバム2枚、現在までに歴代メンバー4人が死亡。世界最初の問題児バンド、New York Dollsをご紹介します。

ニューヨークの可愛い女の子たち?

彼らほど「鮮烈なデビュー」という言葉が似合うグループはいません。先ほどの写真を掲げ、1973年にアルバムをリリース。その強烈なヴィジュアルは、メディアの注目を集めました。「子供に聞かせてはいけない」「世界初のホモセクシャルバンド」「アメリカが生み出した史上最低のグループ」言いたい放題のコピーが、あらゆる表紙を飾りました。

当時の音楽シーンを振り返りましょう。ロックバンドが一世を風靡した時代は終わり、シンガーソングライター全盛期でした。誰もがアコギやピアノで、ひっそりと心情をつづっていました。ヒッピー幻想は遥か昔。Gillbert O’Sullivanとカーペンターズが優しく、優しく歌っていました。

そこに場外から乱入してきたのが、New York Dollsでした。5人の男がハイヒールを履いて、自らを「dolls (魅力的な可愛い女の子)」と呼んでいました。「なぜ女の服を着ているんだ」「なぜ男同士が腕を組んでいるんだ」人々はあらゆる「Why」を投げかけました。その存在自体が混沌でした。

パンクのパイオニア

しかし彼らが本当に見た目だけのグループだったら、今こうして記事なんて書いていません。The Ramones、Sex Pistols、The Clash。今なお偉大なバンドのルーツを調べると、必ずNew York Dollsにぶちあたります。そうです。彼らはパンクのパイオニアだったのです。

ラモーンズはこの世の全てを否定しましたが、New York Dollsだけは絶賛しました。シドヴィシャスはガールフレンドのベッドルームで、彼らのレコードを何回もかけました。どちらもその音楽に突き動かされ、アクションを起こし、バンドを始めました。

彼らの代表曲からの一節です。

「お前の人格が崩壊したとき、お前は最高にカッコよかった。でも今や、お前に残されているのは、欲求不満と心の痛みだけ」

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1973年。優しい時代でした。あれだけ革新的だったビートルズの元メンバーも年を取り、キチンと整頓されたポップスを作っていました。若者にとっては、どこまでも退屈でした。大人とは折り合いがつかない、社会の隅に残された少年少女。New York Dollsの言葉は、彼らに啓示のごとく響きました。今この時しか感じられない焦燥。そのメッセージは切実でした。逼迫していました。

Young and Foolish

ご想像の通り、彼らは酒とドラッグに溺れました。その結果、不幸なメンバーの死も迎えました。最初の英国ツアーが、ドラマーの突然死によって中止になったことは有名です。そしてその悲劇さえも、ロックンロールの体現者として、彼らの神秘性を高めました。

そしてあのヴィジュアルです。彼らはさながら、地獄からの使者でした。命すら厭わない彼らが爆発させていた感情は、どこまでも生々しく、純粋で、制御不能でした。

New York Dollsは聴き手の若さを試します。年齢ではなく、心の若さです。彼らの佇まいと音楽は、どんなに時代が変わっても、若い魂を揺さぶります。これを読んでいるあなたは、この音楽から何かを掴み取れるでしょうか?

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